大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和33(あ)559 判決

主 文

原判決を破棄する。

本件を東京高等裁判所に差し戻す。

理 由

弁護人戸田宗孝の上告趣意第一点について。

論旨は判例違反をいうが、所論引用の判例は本件に適切ではないから前提を欠き

とるをえない。

同第二点及び同弁護人の上告受理申立理由について。

論旨は違憲をいうが、実質は物品税法二二条のいわゆる両罰規定における法人に

対する公訴時効に関する法令の解釈適用の誤りを主張するに帰着する。

記録によれば、原判決が支持した第一審判決は、被告会社の代表取締役A、同会

社経理係社員Bが昭和二八年二月から同年四月迄の間になした各所為に基き物品税

法二一条、二二条、昭和二八年五月法律四一号により改正前の物品税法一八条一項

二号を適用し、いずれもその所定罰金額の範囲内で被告会社を第一審判決主文掲記

の各罰金刑に処したことが明かである。

しかして右物品税法二二条のいわゆる両罰規定における事業主たる法人に対する

公訴時効は、刑訴二五〇条五号により時効期間はその法人に対する法定刑たる罰金

刑につき定められた三年であり、この起算点は同法二五三条一項により右物品税法

一八条一項の違反行為が終つた時と解するのを正当とする。(昭和二九年(あ)一

三〇三号同三五年一二月二一日大法廷判決、刑集一四巻一四号二一六二頁、昭和三

〇年(あ)二七〇五号同三六年七月二五日第三小法廷判決、刑集一五巻七号一二〇

二頁参照)

ところで被告会社に対する本件公訴提起は昭和三二年三月七日になされたことが

記録上明かであるから、本件について、国税犯則取締法一四条、一五条による公訴

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時効中断の手続がとられていない場合は、本件公訴提起は前記違反行為が終つた時

から三年の公訴時効期間経過後になされたことになるわけである。(記録上右公訴

時効中断の有無を確認することができない。)

しかるに原判決は、物品税法二二条のいわゆる両罰規定における法人に対する公

訴時効は、行為者に対する法定刑たる懲役刑を基準として刑訴二五〇条四号により

時効期間は五年であり、本件公訴提起は公訴時効完成前になされたものであるとし

ているのである。従つて原判決は公訴時効に関する法令の解釈適用を誤つた違法が

あり破棄を免れず、右公訴時効中断の点について、なお事実の取調を行うため本件

を原審東京高等裁判所に差し戻すのを相当とする。

よつて刑訴四一一条一号、四一三条本文により主文のとおり判決する。

この判決は、裁判官石坂修一の少数意見があるほか裁判官全員一致の意見による

ものである。

裁判官石坂修一の少数意見は次のとおりである。

わたくしは、本件物品税法違反の罪について、未だ公訴の時効が完成していない

ものと思料する。その理由は、昭和二九年(あ)一三〇三号取引高税法違反被告事

件につき同三五年一二月二一日大法廷の宣告した判決中に示したわたくしの少数意

見と同一であるから、それをここに引用する。

検察官 羽中田金一出席

昭和三七年三月六日

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 五 鬼 上 堅 磐

裁判官 河 村 又 介

裁判官 垂 水 克 己

裁判官 石 坂 修 一

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